VIVA LA ROCK 2024

総括レポート

これぞ、音楽!! これぞ、ビバラ!!
多様な音がステージに鳴り響いた
VIVA! STAGE 始まりの1日

「11回目のVIVA LA ROCKですが、10+1回目という気持ちで、これからの10年に向けて新しい一歩を踏み出したいと思って準備を続けてきました。今日がその初日です! 皆さんと一緒に最高の1日を作り上げて新しいビバラの始まりを飾りたいと思うので、皆さんご協力よろしくお願いいたします!」
今年から新たにプロデューサーに就任した有泉智子の開会宣言に大歓声が応える。 VIVA LA ROCK 2024の最初の音をかき鳴らしてくれるのは、VIVA! STAGEのトップバッター・東京スカパラダイスオーケストラ。登場のジングルが会場に鳴り響くと、会場のボルテージはまた一段と上がった。

SEが流れ始めると、メンバーが悠然とステージへ登場し定位置に着く。VIVA LA ROCK 2024は“紋白蝶 -8 a.m. SKA-”でキックオフした。早速オーディエンスを煽りながら我々に極上のサウンドを届けてくれるスカパラのメンバーたち。朝一番から沖祐市(Key)のスキルフルなキーボード捌きに目を奪われると、加藤隆志(Gt)が「いくぞ、VIVA LA ROCK!」、続けて谷中敦が「準備はいいか!」と声を上げる。その声に反応するように歓声が上がる。VIVA! STAGEのフロアはすでに熱気を帯びている。間髪を入れずに代表曲“DOWN BEAT STOMP”を披露。洗練されたサウンドにオーディエンスたちは飛び跳ねて喜ぶ。ライヴ冒頭から誰も置いていかない、会場にいる全員で生み出す多幸感。さすが、スカパラと言わざるを得ない最高の立ち上がりだ。

2曲を披露すると谷中敦(Bariton Sax)が口を開く。「朝からすごく集まってくれるね! 幸せでしかない! スカパラは35周年です!」と。そう、スカパラは今年アニバサリーイヤー。そんな節目の年にVIVA LA ROCKの会場で、それも初日のトップバッターで彼らの極上のスカを聴けるなんて。こんな幸せなことはない。続けて谷中が「記念に、バラダイスの住人になってくれ。仲良く楽しんでくれよな! 闘うように楽しんでくれよ!」と高らかに声を上げて始まった“Dale Dale! 〜ダレ・ダレ!〜”では、「パラダイスの民よ! 今日は声出してOKだぜ! 歌え!」なんて言われたものだから、オーディエンスはそれに応えるように「ラララ」と歌い彼らの音楽に色を添えていく。続けて間髪を入れず、“ルパン三世のテーマ'78”、“Canʼt Take My Eyes Off You〜君の瞳に恋してる〜”など連続で投下。ここに集まった全ての人間を楽しませるパフォーマンス。ステップを踏んで踊っている人、横ノリしている人、縦ノリしている人、楽しみ方はさまざまだけれど、表情はみんな笑顔。ああ、ビバラが今年も戻ってきたことを感じさせる最高の時間。茂木欣一(Dr)の「やっぱり音楽って一生付き合える最高の友達」という言葉とともに始まった “メモリー・バンド”。大切な絆を歌ったこの曲でオーディエンスの心を鷲掴みにすると、スカパラ恒例のGAMOの渋い声の煽りで楽しませる“Paradise Has No Border”。オーディエンスはそんな煽りにこの日最初の大声で応える。恒例の楽しい時間を終えると谷中が再び口を開いた。

「次で最後の曲です。最後に谷中のお願いを聞いてくれ! 手上げろ! そのまま全員で肩を組め!」と。すると、会場にいるオーディエンスが肩を組み始める。もちろんいろんな音楽ファンがいたことだろう、決してスカパラファンだけではない会場だと思う。しかし音楽の力でオーディエンスはひとつになる。そこに境界線なんてないんだ。最後に披露されたのは“All Good Ska is One”。肩を組み横に揺れながら彼らの音楽に酔いしれる会場。こんな絶景が朝イチから見ることができるなんて。谷中が「ビバラ最高です。この後も思いっきり楽しんでね」と発し、VIVA! STAGE一発目のライヴは幕を閉じた。

2組目に登場したのは、今まさに飛ぶ鳥を落とす勢いの新鋭バンド・Kroi。あらゆる音楽ジャンルを落とし込んだミクスチャーな音楽性と類い稀なるスキルフルな演奏はVIVA! STAGEのオーディエンスをリハーサルの時点ですでに沸かせていた。関将典(Ba)の骨太なベースで幕を開けた“Fire Brain”から会場の色を一気にKroi色に染めていく。自由にセッションを楽しむように演奏する5人。内田怜央(Vo&Gt)の「皆さん調子どうですか? Kroiちゃん始めます」というチャーミングな挨拶を挟みつつ、ソウルフルかつジャジーな演奏で会場の雰囲気を完全に掴んでいく。それぞれのスキルが際立つパフォーマンス。長谷部悠生のエッジの効いたギターに的確にビートを刻む益田英知のドラム、アイコニックな千葉大樹の鍵盤、関のどっしりと構えたベースに内田の声が乗っかる。オーディエンスはそんな最高な演奏にただ身を任せ、横ノリを続けている。1曲目からフルスロットルな内田のボーカル、波打つように歌唱する彼特有の歌声は本当に唯一無二。聴いているだけで、胸が高鳴ってしまう。

間髪入れずに2曲目“Water Carrier”へ進んでいくと、彼らの緩急のあるライヴパフォーマンスに魅了されたオーディエンスが次々にフロアに誘われていく。続けざまに2曲を披露すると内田が口を開く。「みんな楽しんでます? Kroiが初めましての人!」と投げかけると、多くの手が上がる。すると、「変なライヴしないようにしないと!」と発し、3曲目の“Hyper”へ。彼らのメジャー1stシングルでもあるこの曲は、なんと言っても長谷部の小気味のいいカッティングが非常に心地よい。その音色に呼応するかのように内田がフロウをかまし、千葉のソロで楽曲に色を添える。冒頭から続く5人の超変態的セッション。熟練されたスキルに、胸を打たれたオーディエンスも多くいるはずだろう。続いて“Balmy Life”を投下しクラップを要求すると、それに応えるフロアには一体感が生まれている。スティーヴィー・ワンダーを彷彿とさせる千葉のボコーダー、内田の<混乱から逃れる術どこ?>の圧倒的な歌い回し、彼らの魅力が詰まった楽曲に圧倒される。間髪を入れず始まった“Sesame”では、極上のライヴアレンジを披露し、サビ部分でオーディエンスは大きく手を上げて、彼らの音楽を楽しんでいる。ここで、内田が口を開いた。「なんか組んできたセットリストが短かったみたいで……」と申し訳なさそうに言う。

「急遽、“Network”という曲をやります」。内田が再び発すると、会場は「おお!」と声を上げ、スタートした“Network”。正直、急遽やったレベルではない。洗練されすぎていて逆に怖い。時間が余ったトラブルをものともしないスキルフルな演奏。Kroiがいかに優れたライブバンドであることがよく分かる。続けて披露した、“Monster Play”では、オーディエンスも一緒になって<Monster Play>と口ずさむ場面、内田と千葉がギターと鍵盤で音を介した会話をしているようなセッションプレイを披露する一幕も。曲の終盤「これが最後の曲でした。なので最後に最高のギターソロをやってもらいたいと思います」と長谷部の至極のギターソロでライヴを完結させた。

アーティストとアーティストが繋ぐ音楽のバトン。VIVA! STAGEもオーディエンスの熱気とみんなの笑顔でかなり温まってきた。初日の折り返し地点、3組目に登場したのはクリープハイプ。今年で現メンバー15周年を迎える彼らは、ロックとは何かを教えてくれていたように感じる。

リハーサルの時点で“愛の標識”、“社会の窓と同じ構成”の2曲を披露し、会場のボルテージは上昇傾向。そんな熱気が冷めやらぬままスタートした彼らのパフォーマンス。静寂に包まれるステージに静かに現れた4人は“君の部屋”から演奏をスタートさせた。尾崎世界観の声とバンドサウンドが会場を包み込む。続けて “一生に一度愛してるよ”を披露。バンドの楽しみ方、醍醐味が詰まったようなライヴ。<思わず止めた最低の場面>と尾崎のアカペラからスタートした“ナイトオンザプラネット”では、フロアの空気が一変したことを肌で感じる。会場の演出も相まってか、どこか異世界、宇宙の何処かへと誘われたような不思議な感覚に陥る。それを助長するかのような長谷川カオナシの優しいシンセサイザーソロに耳を傾け、心地よさそうにするオーディエンスたち。<それでちょっと思い出しただけ>と情感たっぷりに尾崎が歌い終わると、次に耳に届いたのは、“キケンナアソビ”。イントロのギターの音色が会場に鳴り響くと、ファンは「おお!!」と大きな歓声を上げる。スタートから4曲を披露したところで尾崎がアンニュイに口を開く。

「毎年出してもらっているけど、今年は空気が違う。それがいいことだと思う」と短く思いを伝えると、スタートした“大丈夫”。そして続けざまに披露された彼らの人気曲“イノチミジカシコイセヨオトメ”。演奏する全ての曲から伝わるロックバンドとしての誇り。静かな炎を燃やしているような尾崎の姿がとてもカッコよく、グッと胸を刺激する。“イノチミジカシコイセヨオトメ”では、歌詞をビバラ仕様に変えて歌う場面もあり、集まったオーディエンスの心を掴んで離さない。

「今日は本当にありがとう、またどこかで観てもらえたらいいなと思います。最後の曲、心を込めてやります」と発してから始まった“傷つける”では、ピンスポットが尾崎を照らし、アコギとともに冒頭を歌唱。Bメロからほかの楽器もインすると哀愁と寂しさがフロアを漂う。最高のバンドサウンドを我々に届けると、メンバーは深く一礼をして、「ありがとう」とステージを後にした。

初日のVIVA!STAGEも後半戦に突入。一つ前に隣のステージで圧巻のパフォーマンスを魅せた日本ヒップホップ界のクイーンのライブの余韻が、まだフロアには残っている。その中で登場するのはBE:FIRST。この余韻がどう作用するのか、彼らはこの中でどんなパフォーマンスを魅せつけてくれるのか、楽しみで仕方がない。

ライヴがスタートすると歓声と熱狂がフロアに渦巻く。“Mainstream”からキックオフしたステージ。7人の個性が混じり合い、歌もダンスも唯一無二の存在感を放つ。ステージを自在に動き回り、決めるところは7人できっちりと決めていく、圧巻のパフォーマンス。正直、彼らがパフォーマンスをした時間の中で「ヤバい」と何度言っただろう。会場を掌握する才能、ラップのフロウ、洗練された歌唱、そのどれをとっても規格外。それでいて、生バンドとの相性もいいとなるともうお手上げ。“Masterplan”のライヴアレンジも絶妙で、オーディエンスが熱狂する理由が理解できる。続けざまに3曲を披露すると、「What's up! VIVA LA ROCK!!」と声を高らかに上げる。

自然発生で起こったハンドクラップ。“Brave Generation”がスタートするとバンドライクな楽曲に多くの音楽ファンが耳を傾けている。RYOKIが会場を煽りながら始まった“Scream”。息のあった洗練されたダンス、7人の一挙手一投足から伝わるのは、並々ならぬ自信、他の共演者を喰ってやろうとする気合いだ。SOTAが「こんなもんじゃねえからな! まだまだ楽しませるけどついて来れるか!?」と問いかけると、呼応するオーディエンス。フロアはパンパン状態、オーディエンスは7人の才能に目を、耳を、全神経を集中させている。「皆さんと一緒に飛び跳ねたい」という言葉からスタートした“Don't Wake Me Up”では、会場にいる大勢の人間がジャンプ。逆にジャンプをしてない人を探す方が大変なくらいの一体感は、流石の一言に尽きる。

ライヴ終盤、「まだまだだけど、今日を一緒に生きていてよかったという瞬間を作るからエールを曲で届けさせてください。どんな日々も肯定させてみせます!」とLEOが熱い思いを吐露して始まった“Great Mistakes”ではタオルを振り回し、続けて披露した“Bye-Good-Bye -TOUR ver.-”では、圧巻のSOTAとRYOKIのソロダンスに合わせてシンガロングも巻き起こる。ライヴの最後は彼らの代表曲“Boom Boom Back”でスキルフルなダンスを魅せつけて、「ヤバくて最高なライヴ」は幕を閉じた。

次に登場したのは、BMSGのボス・SKY-HI。リハ中、「待てないぜ、本番やろうぜ、VIVA LA ROCK!」、「今すぐそっちいくから、待っとけ!」とSKY-HIが口火を切ると、直後に暗転し、ギターのサウンドが鳴り響く。クラップを要求しながら登場したSKY-HIは“Crown Clown”からライヴをスタートさせた。オーディエンスだけでなく、後輩たちに魅せつけるようにパフォーマンスを続けるSKY-HI。<俺の生きる姿全てがエンタテイメント>、まさにその通りだと思う。冒頭から彼は極上のエンタテイメントを我々に提示し続けている。ステージのセンターに鎮座する姿、実際の姿よりも何倍も大きく見えるのは、彼の自信が影響しているのだろうか。

「もう後半戦だぜ、体力残しておいても仕方ない、使い切るぞ! このパーティーの主役はアンタたちだろ!」と始まった“Happy Boss Day”。力強く歌う彼の姿に呼応するかのように飛び跳ねるオーディエンス。間髪を入れずに展開していくライヴだけれど、随所に熱い言葉を挟みながら進行していくSKY-HI。オーディエンスはその言葉に、その歌声に、耳を傾け、極上のエンターテイメントに魅了されていく。代名詞でもある高速ラップも飛び出し、会場のボルテージは最高潮へ。“Double Down”では、会場にいる全員を巻き込みコール&レスポンス。ドラムと会話するようなライミングをかまし、言葉と音のセッションを披露。この男、本当にエンターテイナーすぎる。我々を絶対に飽きさせない、この魅力は一体なんだろうと考える。それはきっと、SKY-HIは音楽に命をかけているからこそ輝いて見えるのだろう。そんなことを強く思わせる彼はMCでこう言った。

「楽しい日が多ければいいけど、クソみたいな時があるだろう、そういうときは一回動物になって吐き出して、よし、明日もやってやろうと思えるのがこういうロックフェスだと思うんだよ。そのために命を捧げるぜ、ついて来てくれるかVIVA LA ROCK。大袈裟じゃねえぜ、命かけるのには慣れているんだ! あの時からな」と熱い思いを発して始まった“To The First”と、続けざまに披露した“D.U.N.K.”で大きな歓声を生み出すと、「出会えてよかった」とひと言。ライヴは幕を閉じるかと思いきや、「まだ聴いたことない曲をやるぜ!」と宣言すると、ステージに現れたのはNovel Core、Aile The Shota、edhiii boi、REIKOの4人。SKY-HIを合わせた5人=BMSG POSSEで初披露したのは“Girlfriend”。極上のマイクリレーで会場をさらなる熱狂に誘うと高らかに「WE ARE BMSG POSSE!!!」と宣言し、会場を後にした。

10+1回目の新たな門出を迎えたVIVA LA ROCK 2024、初日のVIVA! STAGEのトリを飾るのは、UVERworld。ロックバンドの生き様を魅せつけてくれた、極上のライヴ。「人生最後のライブかのようにぶつかるぜ!」と宣言しスタートした“Don’t Think.Feel”から最後の瞬間までUVERworldから目が離せない。きっとそう感じたオーディエンスも多いだろう。最初から煽りまくるTAKUYA∞。「ペース配分もねえ! 明日のことも考えてない! この瞬間で燃え尽きる本物のロックバンド見せたるわ! 心の導火線を真っ黒にしてやるぜ!」と口火を切る。“Touch off”がスタートするとすぐさま<No,No,No>のシンガロングが巻き起こる。

自分たちのファンへ、「UVERファン、楽しみ方を魅せてやってくれ、全員連れて行け!」と号令をかけると、ステージの下へ降りていくTAKUYA∞。柵に登り、“IMPACT”を力強く歌唱する。「最高だな! 次のサビで熱い瞬間を作りに行こうぜ!」と会場全体を煽ると、フロアは割れんばかりのハンドクラップに包まれる。冒頭の3曲で、全ての音楽ファンを味方にしたと言っても過言ではない彼らのパフォーマンス。「ファン以外の心に刺さろうとしないでフェス出る意味なんてないんだよ!」と声を上げるTAKUYA∞に大きな歓声が巻き起こる。続けざまに披露した、“PRAYING RUN”では、<全部やって確かめりゃいいだろう>とオーディエンスは声を合わせて歌う。

続く“ENCORE AGAIN”では、生まれた場所も世代も違うBE:FIRSTのSHUNTOと、ジャンルを超えて音楽で繋がった最高のコラボレーションを披露。互いが互いにリスペクトしている姿にファンは感嘆の声を漏らし、涙を流しタオルで顔を押さえてしまっている人もいる。これが音楽の力、ジャンルも世代も関係なく互いにフィールすれば、音を楽しむことができる、そんなことをまざまざと感じるUVERworldのステージ。TAKUYA∞の熱い言葉と奏でる音楽。「UVERworldの一番大切な曲、この曲があなたに刺されば、あとはなんでもいい!」と始まった“EN”では、そのメッセージ答えるようにオーディエンスが高く拳を突き上げ、フロアはさらに熱狂していく。「あなたの人生最後までいい歌を作り続けるからさ」という言葉が印象的だった “THEORY”、「自分らしさを信じているから、自分らしく終わろうと思います」と発し、ライブの最後を彩った“Eye’s Sentry”。どの曲をとってもUVERworldは最高にクールでアツくて……。ロックバンドとはなんたるものかを体現してくれていたと思う。数々の熱狂を生んだVIVA! STAGEの初日。素晴らしい形で明日へと繋ぐことができたはずだ。

テキスト=笹谷淳介
撮影=小杉歩