VIVA LA ROCK 2025

MESSAGE

2025.05.20

VIVA LA ROCK 2025終演から2週間が経ちました。
今年のビバラに参加してくださったすべてのみなさん、出演してくださったすべてのアーティストのみなさん、そして、ご尽力くださったすべてのスタッフのみなさんに対して、心からの感謝とリスペクトを捧げます。
今年のVIVA LA ROCKは4日間で10万5000人の方にご来場いただくことができました。さらに、ビバラの入場無料フェスVIVA LA GARDENに関しては、初の試みとなった「埼玉からアゲ博」も含めた8日間で延べ20万人の方にご来場いただくことができました。
我々はビバラを主催・運営しています。もちろん考え得る限りのすべての準備をし、当日の運営が円滑なものになるよう全力を尽くしますが、でも最終的に、フェスを作り上げてくださるのは参加者&出演者のみなさんです。みなさんそれぞれが、それぞれの想いを胸に本当に熱量高くこのフェスに臨んでいただいたこと。そして音楽を、あの場を、心から楽しんでくださったこと。それがそのまま今年のビバラの熱く幸福な空間を作ってくださいました。本当に本当に、本当にありがとうございました!

VIVA LA ROCKは、今年で12回目の開催でした。
近年のビバラは、日ごとに少しずつコンセプトを分けた形でラインナップを組んでおりますが、今年も私なりに日ごとのコンセプトを設定し、4日間の流れを組ませていただきました。ブッキングに関しては、最終的に胸を張りまくって100点満点!と言えるブッキングができたと思っていますが、正直に申し上げれば最後の最後まで悩みました。
ビバラは音楽の自由と喜びと、それがもたらす解放をとことん体験することができる、ロックフェスというものの本質的な醍醐味をしっかりと大切にしながら、同時に、自由を掲げているからこそ、より様々な価値観やカルチャーが共存するフェスになっていきたいと思っています。それをどのような形でラインナップならびに日ごとのタイムテーブルに落とし込んでいったら、みなさんにそのことをヴィヴィッドに感じてもらえて、ワクワクしてもらえて、かつ、強烈に楽しんでもらえる訴求力の高い魅力的な4日間にすることができるのか。
タイムテーブル発表時のこのMessageコーナーでも書きましたが、私はフェスのラインナップやタイムテーブルは、我々からみなさんに提示するひとつのストーリー、そしてひとつのメッセージだと思っています。もちろんそれは、みなさんに強要するものではありません。けれど、我々が感じている日本の音楽シーンの面白さ、凄み、そして奥深さを、みなさんに知っていただくきっかけとなるフェスでありたいからこそ、そして全国各地にすでに数多くの素晴らしいフェスが存在するからこそ、ビバラはビバラとして、構成から遊び方の自由に至るまで、我々なりの想いを込めることを大切にしています。
結果、今年も素晴らしい出演者、参加者に恵まれることができました。4日間全体を俯瞰で見たときに、現在の日本の音楽シーン、バンドシーンの多層的な厚みと面白さ、あるいは新しい流れから長い年月をかけて培ってきた成熟と強靭な凄みまでを――あくまで一端ではありますが、でもその確かな一端を――ビバラなりに体感していただける4日間にできたのではないかと自負しております。そして実際に出演者達が歌い響かせる音楽を体験していただくための音響もステージも、とことんこだわり、最高の環境を作ることができたのではないかと思っております。みなさん、いかがでしたか?

開催期間中、本当にたくさんの笑顔と、たくさんの熱い想いを、参加者のみなさんからダイレクトに受け取りました。出演者のみなさんからも、ライブはもちろん、ステージ上から、あるいはバックヤードで、気持ちがこもったお言葉をいただきました。
ビバラに限ったことではありませんが、フェスをやるのは、正直に言えばとても大変です。準備期間にもいろんなことがありますし、本番期間中も、どれだけ十分に準備・シミュレーションをしてきたつもりでいてもやっぱりその場その場で様々なことが起こり、随時、対応していかなければなりません。緊張が途切れることはないし、安心できる時間というのはすべてが終了するその瞬間まで存在しません。
だけど。
みなさんの心からの笑顔や、あるいは心動かされて涙を溢れさせたり、圧倒されたり興奮されたりしているお顔を目にする度に。ステージ上で輝くような表情でライブを繰り広げる出演者を見る度に。そしてそこに鳴り響く素晴らしい音楽と、それを中心に生まれていく幸福な光景を全身で体感する度に。
今年もやってよかったなと、ビバラを続けていてよかったなと、これからも誠心誠意頑張っていこうと、心から思うのです。
VIVA LA ROCKをVIVA LA ROCKたらしめてくれているのは、みなさん一人ひとりです。
本当にありがとうございました。

もちろん、課題はあります。ひとつ大きなところで言えば、誠に遺憾ながら、今年もビバラの現場で痴漢の被害に遭われてしまった方がいらっしゃいました。被疑者の身柄を確保できた2件に関しては、警察に通報し、警官に会場に来てもらって現場で聞き取りをした上で、警察の手によって被疑者を警察署へと連行しました。一方で、スタッフが被疑者を追いかけたものの取り逃がしてしまった例などもありました。心の底から悔しく思っています。
痴漢は絶対に許しません。絶対に撲滅すべく取り組みたいと、改めて、強く決意しています。

今年もビバラは例年と同じく、ライブの観覧の仕方や遊び方に関して、可能な限りルールを設けずに開催しました。その背景には、ロックフェスとしてライブハウスのカルチャーと地続きでありたいという強いこだわりがあります。そして、それゆえの課題もずっと抱えています。
誰の想いも、どんな楽しみ方も、どんなカルチャーも、否定することなくお互いに尊重して共存できる場になることが、ビバラの理想です。「全員が幸せに、満足できる状況になることを絶対に諦めない」――そうMCで言ってくれた出演者の方もいました。それはそのまま、我々の想いでもあります。
本当の意味でそれを実現するために、様々なカルチャーが共存する先に本当に有意義で自由な空間を作るために、まだまだ考えなければいけないこと、取り組まなければいけないことがあると思っていますが、本当に少しずつかもしれないけど、今年のビバラを通して、またそこに向けた一歩は踏めたのではないかと思っています。みなさんのおかげです。これからも盲信・慢心することなく、常に考え続けながらトライしていきたいと思っております。

本日5月20日、ビバラのコアメディアである音楽雑誌「MUSICA」6月号が発売となり、その誌面で全64頁にわたるVIVA LA ROCK 2025大特集を掲載しております。
各アクトのライブ写真を始め、出演アーティストそれぞれからの感想コメント、そして、上記したようなことを含め、今年のビバラの諸々について私がプロデューサー視点から綴った1万字のルポも掲載しております。ぜひ読んでいただけますと幸いです。

最終日に発表した通り、来年2026年はさいたまスーパーアリーナが改修工事のため、1回だけビバラはたまアリを飛び出し、初期の頃から様々なコラボをしてきた「浦和レッズ」ならびに「埼玉スタジアム2002」とタッグを組んで、「埼玉スタジアム2002周辺・野外特設会場」にて開催します。2026年5月2日〜6日の5連休のうちの4日間にて開催予定です。まだ具体的な日付、そしてどのようなレイアウトで実施するかに関しては、関係者各位と協議しながら、そしてワクワクを高めながら、詰めている最中です。決まり次第お知らせしていきますので、どうか楽しみに待っていてください。
ビバラとしては初の野外フェスとなります。これまでとは勝手の異なるところも多々出てくるとは思いますが、とはいえ、ビバラらしさを決して失うことなく、この会場ならではのスペシャルなビバラにできるように、そして、いい意味で「会場が違ってもビバラはビバラだったね」とみなさんに思っていただける開催ができるように、精一杯尽力していく所存です。

みなさん、どうかこれからの1年間の中で、またたくさんの音楽に出会ってください。
そして来年もぜひ、VIVA LA ROCKで一緒に音楽の自由と喜びを分かち合いましょう!

有泉智子
(VIVA LA ROCKプロデューサー)


pic by 小杉歩