赤い公園の多面性と

絶対的なメロディーの力

3日間を通じて、VIVA! STAGEでは唯一のガールズバンドとなる赤い公園。まずは津野米咲(G&Piano&Cho)がひとりで登場し、おもむろにキーボードで聴きなじみのあるフレーズを弾き出すと、徐々に残りのメンバーも現れて、そのまま怒濤の100秒チューン“絶対的な関係”がスタート。複雑な楽器の絡みを聴かせる“ひつじ屋さん”に続いて、佐藤千明(Vo)の「おっしゃ埼玉、かかってこいやー!」を号令に“のぞき穴”に突入し、バスドラに上った藤本ひかり(B)がラストの「のぞいちゃいな!」に合わせてジャンプを決めるなど、序盤はアヴァンギャルドなロックナンバーを自由奔放に披露していく。

続く、“ナンバーシックス”からは、いわばポップスコーナー。歌川菜穂(Dr&Cho)のドラムから始まり、オーディエンスと共に手を振った“今更”、さらには“よなよな”と、これらの曲はアレンジの面白さもさることながら、とにかく抜群にキャッチーなメロディーのよさが光る。彼女たちのことを「世界一のガールズバンド」と呼ぶ本フェスの主催者・鹿野淳へ向けた「鹿野コール」に続いて、同期を用い、津野がピアノを弾く“交信”からはバラードコーナー。赤い公園のバラードは映画音楽のように大きなスケールを感じさせるものが多く、ライブハウスよりもこういう大きな会場がよく似合う。“風が知ってる”は特に素晴らしく、“きっかけ”ではモグワイばりの轟音を響かせた。

ラストは正式には未発表の曲ながら、ライブでは毎回必ずラストに演奏される“ふやける”。アウトロでは全員が派手に暴れ回り、ノイズをまき散らしてステージから去っていった。音楽性はとにかく多彩で、キュートなのに男勝り。スノッブに構えることも、ポップに寄りかかることもなく、ひたすら独創的なアレンジを追求し、グッドメロディを紡いでいく赤い公園。僕も世界一のガールズバンドだと思います。

(金子厚武)

セットリスト

  • 1. 絶対的な関係
  • 2. ひつじ屋さん
  • 3. のぞき穴
  • 4. ナンバーシックス
  • 5. 今更
  • 6. よなよな
  • 7. 交信
  • 8. 風が知ってる
  • 9. きっかけ
  • 10. ふやける