豪快かつ繊細なBBBサウンドで

STAR一気に開幕!

2日目の「ファンファーレ」を高らかに鳴らすべくSTAR STAGEに登場したのは、Base Ball Bear。ブルーに染まったステージから波のように細かく揺れるギターの美しいノイズがフロアに投射され、小出祐介(Vo&Gt)の張りのある歌が響くと同時にオーディエンスの手が挙がりアリーナが大きく揺れた。鳴らされたのは、“ファンファーレがきこえる”だ。満開の笑顔で叩きまくる堀之内大介(Dr)、時折笑みを零しながら踏む可憐なステップとは対照的に太い音を鳴らす関根史織(B)、クールなようでいて時に衝動的に、解放的にギターを弾きまくる湯浅将平(G)、そして、強い眼差しで毅然と前を見つめながら張りのある歌声を投射していく小出。ステージもフロアも、目に見えてグングンと熱量が上がっていく。2曲目の“changes”で、早くもこの日最初の沸点を迎えた。

「みなさんおはようございます、Base Ball Bearです。こんな朝11時にロックを聴きにくるなんて、みなさん本当にロック好きですよ」という言葉で始まった小出のMCの中で、6月4日にニューアルバム『二十九歳』をリリースすることがアナウンスされる。で、早速、そのできたばかり(本当に半月ほど前にできたばかりなんですよ)のニューアルバムから、新曲“そんなに好きじゃなかった”が披露された。アメリカンロックのような、大陸的な抜けのよさを放つ雄大なグルーヴと、他の曲とは一味違うややソウルフルな色気を放つ小出のヴォーカルが、クールなのに熱くて、カラッとしているのに堪らなくエモーショナルな情景を描き出す。10代でデビューした頃から「青春」というものをひとつの根源的なテーマとしてきたBase Ball Bearが、それを内包しながらも次の段階へと歩を進めたことが感じられる楽曲だ。結果的に、この新曲が中盤に差し込まれたことで、彼らの持つ音楽的な多彩さやディープさが響きやすくなったように感じられた。

その後、“senkou_hanabi”で熱狂の渦を生んだ後は一転、湯浅による深く静かな響きを放つギターが幽玄な世界を描き出し、小出が奏でる美しいギターフレーズに導かれて“kodoku no synthesizer”が始まった。痛快かつポップにロックを弾けさせていくバンドというイメージが強いかもしれないが、ちょっとしたフレーズにも鋭いセンスを忍ばせ、繊細な感性とこだわりに裏打ちされた美しい音の重なりで無二の世界を見せていくのも、またこのバンドの魅力だ。特に小出と湯浅の2本のギターが奏でるアンサンブルとその鳴りの美しさは屈指。今日もそのバンドサウンドに圧倒される瞬間が何度も何度もあった。

ステージは終盤に向かってギアを上げていき、ラストは初期からの代表曲でもある“祭りのあと”。湯浅と関根がサイドへと走り込んだり、小出も大きな振りでギターを掻き鳴らしたりしながら、ジャキジャキッとした鳴りの強い音塊で豪快にロックを転がして完全燃焼。トップバッターとして見事に火を点けた、素晴らしいステージだった。

(有泉智子)

セットリスト

  • 1. ファンファーレがきこえる
  • 2. changes
  • 3. PERFECT BLUE
  • 4. そんなに好きじゃなかった
  • 5. senkou_hanabi
  • 6. kodoku no synthesizer
  • 7. Tabibito In The Dark
  • 8. LOVE MATHEMATICS
  • 9. 祭りのあと