白昼夢への誘い

CAVE STAGEの2番手として登場したのはThe fin.。濃いスモークに包まれたステージの中に彼らのシルエットのみが浮かび上がる光景は、まるで白昼夢のような幻想的な光景だ。

おもむろにドラムのキックが始まり、鳴り出したのは“Circle On The Shows”。空間いっぱいに響き渡るビートとドリーミーなきらめき。そこに加わるYuto Uchino(Vo)の歌声は、稀有な透明感に満ちている。ゆったりとフロア全体が揺れ始め、オーディエンスは夢見心地のようだ。

「Thank you so much。The fin.です、神戸から来ました。VIVA LA ROCK、Yeah!」といったUchinoのフランクなMCにフロアの空気が和み、お客さんも一瞬夢から覚めたかのように我に返ったが、ふたたび曲が鳴り始めると、やはりそこは異世界のようだ。身体を貫くようなスネアの音が印象的な“Without Excuse”、フェイズエフェクトによって高揚を煽る“The End Of The Island”と、続けざまに鳴らした後は、続いて“Faded Light”。リズムギターがプラスされた同曲は、今まで以上に彼らの音像が空間すべてを飲み込んでいく。周りを見渡すと、オーディエンスが深い音像に身を任せ、恍惚の表情を浮かべていた。バンド自身のテンションの昂ぶりもステージ上に浮かぶ彼らのシルエットから伝わってくる。あっという間に時が過ぎ、まさに夢のようにさわやかな残響を残してメンバーはステージを後にした。

(黒澤圭介)

セットリスト

  • 1. Circle On The Snows
  • 2. Night Time
  • 3. Without Excuse
  • 4. The End Of The Island
  • 5. Faded Light
  • 6. Glowing Red On The Shore