たった2曲が宇宙まで広がっていく
「至福の音楽白昼夢」
暗転したステージ上にSEなしで登場したのは、「森は生きている」。
6人の音と音が重なり合ううちに、深いリヴァーブがかかったサイケデリックな音像が形成されていく。まずは“煙夜の夢”だ。時折鋭いノイズや鳥の声を想起させるような音が織り交ぜられていくと、多種多様な生命がそこで輝いているような感覚を受ける。竹川悟史(Vo&G&B&Syn&Per)のふんわりとした歌声、ゆったりとしたリズムとオリエンタルなフレーズに、強烈なトランス感が宿る。オーディエンスも微動だにしないまま、我を忘れたようにステージの光景に見入っている。
「ありがとうございます。森は生きている、と言います」という自己紹介ともMCともつかないような言葉を残し、そのまま“ロンド”へ。メランコリックな響きのトランペットやグロッケンを交えてジワジワと感情が昂ぶっていき、最後にはノイズの塊を残してステージを去っていった。
たった2曲、30分。だが、宇宙のように無限に広がっていくような浮遊感と恍惚を感じるライヴだった。
(矢島大地)
セットリスト