サンボマスター流
「むちゃくちゃ」大成功!
STAR STAGE、本日3番目の登場はサンボマスター。「本当は1番手として出たかったけど先輩・スペアザに譲った」とか「MUSICAに取材されたことない」なんて悪態をつきながらも、「俺らは美しいライヴなんかしにきたんじゃないんだ、あんたがたとむちゃくちゃやりにきたんだ!」と腹の底から叫ぶ、山口隆(Vo&G)。初っぱなからサンボマスター印のエモーションはトップギアだ。
「お前らと世界を変えたいんだ!」ーーいつもいつもライヴの度に山口は毎回そんな煽りをしているが、その言葉は嘘や飾りではなくいつだって本音で直情的だ。サンボマスターのむき出しなパフォーマンスには「今、ここで確かに何かが変わるんだ」と本気で信じさせるパワーが宿り、 文字通り、“ミラクルをキミとおこしたいんです”でも自然とオーディエンスがハンドクラップが巻き起こってゆく。
「君だけに起こせる奇跡があって……こどもの日に起こせる奇跡があるだろ!」。そう叫んだ山口に呼応して、オーディエンスも拳をあげる。木内泰史(Dr)のシャウトも血のにじむような熱情がこもっていた。
「踊ってちょうだい!」というシャウトと共にプレイされたのは“孤独とランデブー”ーーのはずだったのだが、演奏が始まった途端、ハンドマイクでステージ前方に飛び出してくる木内。そのままなぜか「これから一緒に殴りに行こうか~♪」と某国民的デュオの名曲を観客と大合唱。「ちょっと待てよ!」と、突然の木内の奇行に驚き叫ぶ山口。そんな山口に思わず「チャゲ」と呼びかける木内……何故か、すっかり気分は飛鳥のようだ。
近藤洋一(B)と山口に無理矢理ドラムセットに戻され演奏を再開しようとするも、今度はなぜか真っ赤なマントを羽織り、再びハンドマイクで登場する木内。ふとみると近藤も紫色のマントを着用している(!)。「3MCでいっちゃっていいですかぁ!踊ってくれぇ~」と山口も、もはやヤケクソ気味のシャウト。しかし、そんなおふざけの後でも手を抜かないのがサンボマスター、パート分けはもちろん完璧で、コーラスでもしっかりとハモって完成度の高いパフォーマンスを披露した。
「チャゲアスが好き」という先ほどの流れをふまえたコール&レスポンスを観客とキメ、次にサンボマスターがプレイしたのは、バンド随一のキラーチューン “世界はそれを愛と呼ぶんだぜ”。愛と平和の力強い雄叫びを、VIVA LA ROCKのステージに響かせる。“できっこないをやらなくちゃ”では「あんたが誰のファンだって関係ないぞ。今ここで最高にしよう!」とロックンロールの根源に立ち返るような言葉を放つ、山口。最後の最後まで全力でオーディエンスと濃密なコミュニケーションをとりながら、その場に居合わせた人々の力を総動員して、サンボマスター流のできっこない「むちゃくちゃ」をしっかりと体現してみせた。
(江波戸 日)
セットリスト