フェスの守護神

10-FEET!

VIVA LA ROCK初日もそろそろ終盤。クタクタになってスタンド席に沈み込む人の数も増えてくる時間帯だが、そんな彼らのロック魂をも問答無用に燃え上がらせるにはピッタリのバンド、10-FEETの登場だ。東京スカパラダイスオーケストラのステージにゲスト出演した際には青のスーツで決めていたが、自分達のステージではもちろんTシャツのパンクスタイル。1曲目は“goes on”、TAKUMAの「飛べ!」を合図に、フロアが一斉にジャンプし、さいたまスーパーアリーナに地響きが起こった。「GWだから遊ぼうぜ!」「どうした? こんなもんか?」と、ひたすらオーディエンスを煽り続け、“2%”では「普段おとなしいやつ、かかってこい!」と心身の解放を呼びかけていく。もちろん、オーディエンスもそこに全力で応え、STAR STAGE全体の熱量がグングン上がっていった。

 

10-FEETは今年で7回目の開催となる「京都大作戦」の主催者であり、フェスを作り上げることの苦しみと喜びを誰よりもよく知っているバンドだ。だからこそ、彼らは常にオーディエンスを気遣い、そして同時に、本気で楽しむことを要求する。「いい環境を作っていこう」と音楽への愛を語ったかと思えば、痴漢を許さないために「この会場にあるおっぱいは全部俺たちのもんだから、他のやつは触るなよ!」と馬鹿なことを言う。そう、10-FEETはいつだってキッズの味方だ。そしてだからこそ、“蜃気楼”や“シガードッグ”といった曲は心に染みるのだ。その後も全身全霊でオーディエンスと対峙し続け、ラストは名曲“RIVER”でこの日のステージを締め括った。

「京都大作戦」や「フジロック」がそうだったように、フェスの初年度にはアクシデントがつきものだが、どうやらVIVA LA ROCK初日に関しては、無事に終演が近づきつつあるようだ。もしかしたら、フェスの守護神と化した10-FEETが、僕らを守ってくれたのかもしれない。でも、汗まみれになったみんな、くれぐれも風邪には気をつけてくださいね。

(金子 厚武)

セットリスト

1.goes on
2.STONE COLD BREAK
3.2%
4.super stomper
5.蜃気楼
6.シガードック
7.その向こうへ
8.1sec.
9.RIVER