「あなたのために闘いたいだけ」
CAVE STAGEも遂にラスト2組、ここで登場したのはBLUE ENCOUNT。サウンドチェックの時点から本番さながらのテンションで2曲を披露し、彼ら自身も、パンパンに膨れ上がったオーディエンスも完全に戦線整った状態で、いよいよライヴがスタートした。
緊迫感のある静寂の中に田邊駿一(Vo&G)の歌声とギターが鳴り響く形から幕を切ったステージは、1曲目の“JUST AWAKE”から一気にギアを上げ、タイトル通りフロアを完全に覚醒させる音塊を叩きつける。ドラマティックにして、ライヴバンドとして今その実力をメキメキと上げているバンドならではの地力の効いた展開。続く“HALO”では、「いろんなものを投げ出してここに来てくれたからには、絶対に後悔させない自信があります」との言葉通りに熱いアクトを繰り広げ、シンガロングの渦を生み出していく。
とにかくフロア中から熱気が溢れ、彼らと共に歌うオーディエンスが目立つライヴだった。2014年に鳴らされるエモーショナルロックの最前線として急速に支持を拡大している彼らの音楽は、その場のノリ云々よりも深いレベルで魂をガッと掴んでいくものだが、この日もまさにその証たるライヴでオーディエンスを巻き込んで行った。性急なBPMながら一拍一拍確かなアタックをもって打ち鳴らされるリズム、鋭いギターリフ、そしてVo&G田邊駿一の聴き手の心にダイレクトに歌いかけるような熱量を持った歌が、心身を揺さぶっていく。5曲目の“ONE”で歌われる<辛いなら、僕も叫ぶよ/恐いなら、僕も叫ぶよ!>というリリックにも象徴的だが、バンドと音楽とオーディエンスが、互いに対等でありながらも確かに互いを必要としているーーそんな幸福な関係性が、ライヴの一瞬一瞬から感じられた。
ライヴ終盤、エモーショナルな側面が爆発したかのように「俺はこのバンドをカリスマだとは思ってない。あなたのために闘いたいだけ」と半ば叫ぶようなMCを放った田邊。そのテンションのまま放たれたラストソング “HANDS”では、熱狂の渦が生まれる一方で、涙を流す人や満面の笑みを浮かべる人などの姿も見られ、それぞれに感情の沸点を越えていく光景が繰り広げられた。「必ず帰ってきます、此処に。また会おうね」と言う言葉に応えたオーディエンスの大歓声。その歓声こそ、彼らのライヴがオーディエンスの中に刻み込まれた証だったと思う。
(黒澤圭介)
セットリスト1.JUST AWAKE2.HALO3.NEVER ENDING STORY4.ONE5.アンバランス6.HANDS