VIVA Dragon Ash!
VIVA LA ROCK!
邦楽ロックに親しんでいる人ならば、Dragon Ashの“Viva La Revolution”という名曲を知らない者はいないだろう。よりよい未来を作るため踏み出そうとする人の背中を押す歌……同じく、“VIVA LA”の名を冠し「音楽」と「音楽を愛する人」のための大きな理想を掲げた、この“VIVA LA ROCK”に、Dragon Ashが参加することはある意味「必然」だったと言ってもいいだろう。
出囃子がわりのDJプレイに会場が沸き立つなか、RIZEのKenKen(B)を含む、いつものバンドメンバーと登場したKj(Vo&G)。1曲目、“The Show Must Go On”からフルスロットルでフロアに曲を叩き込んでいく。“For diver’s area”では、「お前らの歌だ!飛んでこい!」とKjに煽られ、曲名の通りダイバーが続出。ラテンのリズムに会場は好き勝手に振る舞いだす。
バンドメンバー全員が前に出て行く、オール・フロント体制とでも呼びたくなるような攻撃的なムードだった、この日のDragon Ash。実際、Kj自身もこのフェスに呼ばれた理由を「今時、俺たちみたいな肉食系のバンドいないから、ミクスチャーロック放り込んでみろってことだろ!」とうそぶいてみせる。
……いや、でも実際のところ、KenKenの圧倒的なベース・ソロからはじまった“The Live”しかり、YALLA FAMILYを招いてイルなヴァイブスで披露された“Still Goin’ On”しかり、「This is ミクスチャーロック」と言わんばかりに、手加減なしで最高値のクオリティで楽曲を演奏するかれらは、まさに「獰猛な獣」と呼んでしかるべきだろう。
“百合の咲く場所で”では、Kjの呼びかけに呼応し、会場全体に巨大なサークルモッシュの輪ができる。一人一人が音楽と向き合い、思い思いに楽しんでいるその光景はこの上なく美しかった。
「レディース&ジェントルマン、ミクスチャーロックは、好きですか?」、何年経っても色あせない殺し文句を合図に演奏されたのは、大名曲 ”Fantasista”。そして、Dragon Ashの長年にわたるシンボルでもある百合をモチーフにした楽曲“Lily”。シンガロングするキッズたちをみつめるKjのやわらかな眼差しに、凶暴な獣だけが知る、本当の優しさをみた。
(江波戸 日)
セットリスト
1.The Show Must Go On
2.Trigger
3.Run to the sun
4.For diver's area
5.The Live
6.Blow Your Mind
7.Still Goin' On
8.百合の咲く場所で
9.Fantasista
10.Lily