俺らに任せとけ!
CAVE STAGE3番目のアクトはNUBO。サブ(Dr)、 Wakai(G)、K-zoo(B)のみが最初ステージに登場し、ヴォーカルレスの武骨なロックサウンドでフロアの興奮を煽ると、両ヴォーカルが登場。「俺らに任せとけ!」という頼もし過ぎるtommy(V)の言葉で、このライヴは口火が切られた。NUBOのスタートから全開な姿に、「これから俺達もすべてを出し切る!」という彼らの言葉に疑問を持つオーディエンスは誰ひとりいなかっただろう。
“Such One”に響くアイリッシュテイストなサウンドと共に僕らに届けられる<今日も進め>という言葉は、スタートから僕らの心を一瞬にして掴み、続く“Colored”では、腰に響く直線的ながらも抑揚に満ちたビートが繰り出され、フロアは加速度的にヒートアップしていった。「今日が本当に初めてですよね。この日から始まるんだね。俺らが最高の初日を作ったんだって一生言うために、今日はあんた達と遊びに来た!」――NUBOなりの愚直な決意表明を告げた彼らの姿には、ここに押し寄せたオーディエンスと共に、このVIVA LA ROCKというフェスティヴァルをも背負っていこうとする覚悟が迸っていた。
フロアの前方だけではなく、後方からも確かな熱気を放っていたこのライヴ。ハイライトは、後ろ向きにないものをねだってしまう人の姿を歌うバンドが多い中で異彩を放つ、彼らの代表曲“ナイモノバカリ”だった。足りないものも、持っていないものもたくさんある自分を好きになって生きていこうというメッセージは、どこか自らの存在を希薄に感じてしまう現代に生きる僕らに強く響いてくる。そんな肯定のメッセージが込められた曲中に叫ばれた「笑って帰れよ! 笑ったままでいてくれよ!」という言葉に呼応するように、フロアは最高の多幸空間に変貌。多くのオーディエンスが衝動のままに高くジャンプをし、踊り狂い、爽やかな汗を笑顔で流していた。オーディエンスを誰ひとりとして見逃さない、心に寄り添う彼らの音楽。その音楽の力と、彼らのライヴパフォーマンスという「生き様」が、オーディエンスの心に刻まれたことを十二分に証明する熱気に包まれた、圧巻のアクトだった。
(黒澤圭介)
セットリスト1.Such one2.Colored3.RESHINE4.Scabs of ONE5.Present changes past6.ナイモノバカリ7.Circle