スケールの大きな歌心

まずはイントロから大きな歓声が上がった“ワンダーフォーゲル”でライヴがスタート。四つ打ちのビートと多幸感あるハーモニーでフロアを歓喜で包むと、続けては“ブレーメン”“Morning Paper”とゆったりとしたグルーヴのナンバーを披露。絶妙なアンサンブルと緩急つけた曲展開でフロアを熱くする。

 

今回のくるりのステージは、岸田繁(Vo&G)、佐藤征史(B)、ファンファンというメンバー3名に加え、the_cigavettesの山本幹宗(G)、BOOM BOOM SATELLITES などのサポートをつとめる福田洋子(Dr)という2名をサポートに迎えての5人編成。円熟感あるアンサンブルに、ファンファンのトランペットがカラフルな色合いを添える。久しぶりとなるニューアルバムのレコーディングを終えたばかりという彼ら。バンドとしての充実が伝わってくるような、しなやかで強くて人懐っこい“いい音”を鳴らしている

「VIVA LA ROCKの“VIVA”ってどんな意味ですか? みんな、知ってる?」とMCでは和やかに話しながら、「ロックのイベントなんでね、ロックな曲をやります」と“ロックンロール”をプレイ。そして後半はミドルテンポの新曲“loveless”“ばらの花”と続けていく。やさしくセンチメンタルなメロディに、お客さんの間にも笑顔が広がっていく。

「今日はみなさん、遅くまで遊んで帰るの? ケガとかせんといてな。主催の人と話してんけど。埼玉にはフェスがないからやったって言って。そういうのいいなって思った。でも、申し訳ないけど、僕ら“埼玉”という曲がなくて。ただ、埼玉もひとつの地方だと思うし、そこから中央に向かう複雑な気持ちを持つ曲ってことで、聴いてください」

と、ラストは“東京”。目をうるませて聴き惚れるお客さんも見えた。終わってみれば、バンドの代表曲を惜しげもなく披露したセット。一列に並んで頭を下げた5人を、大きな拍手が包んでいた。

(柴 那典)

セットリスト

1.ワンダーフォーゲル
2.ブレーメン
3.Morninig Paper
4.ロックンロール
5.loveless(新曲)
6.ばらの花
7.東京