ドレスコーズが迎えた新しい季節

続いて、VIVA! STAGEにはドレスコーズが登場。まず3人のメンバーが表れ、最後に志磨遼平がゆっくりと登場。ビートナンバーの“Lolita”からスタート。志磨、やはり絵になる男である。黒一色に身を包み、その長い手足をくゆらせながら、ステージ上をウロウロと動き回って歌う、その一挙手一投足が実に優雅だ。一方でバックの3人は演奏に集中し、支えることで、志磨のフロントマンとしての資質を最大限に発揮させようとしているかのように見える。

“どろぼう”、“ベルエポックマン”とアップテンポなナンバーで盛り上げると、ミニマルかつトライバルなリズムが印象的なサイケナンバー“Automatic Punk”では、志磨がステージを降りて客席を疾走! ライヴ後半も“シネマ・シネマ・シネマ”や“トートロジー”といったロマンティックなロックンロールを続け、切迫感のあるラップ調のパートが印象的な“ゴッホ”では再び志磨が客席に降り、柵によじ上ると、大勢のオーディエンスがそこに吸い寄せられるように集まっていく。その光景は「カリスマ健在」を強く感じさせるものだった。

途中のMCで志磨は「全部出すから全部見てって。で、僕のことちゃんとわかって」と言っていたが、この希代のカリスマを一番大きなステージで見たかったという人も多かったと思う。ドレスコーズは先日、日本コロムビアからキングレコードへの移籍を発表し、志磨は「ダンスミュージックの解放」を新しいテーマに掲げているが、もちろん、かっこいいロックンロールというのは、すべからく最高のダンスミュージックである。そして、それを教えるのに適役なのは、誰もよりもロックンロールを愛する志磨以外にいないだろう。このままでは終われない。新しい季節の始まりだ。

(金子厚武)

セットリスト

  • 1. Lolita
  • 2. どろぼう
  • 3. ベルエポックマン
  • 4. Automatic Punk
  • 5. シネマ・シネマ・シネマ
  • 6. トートロジー
  • 7. ゴッホ