5.3 WED 11:45-12:20 VIVA! STAGE
アルカラ

ユーモアの裏にロック哲学が脈動する、
アルカラ、ビバラ初見参!

今年2月22日に結成15周年イヤーに突入した、関西ロックシーンの雄・アルカラ。VIVA LA ROCKには今回が初登場となる。「ロック界の奇行師」を自称するだけあり、この日もサウンドチェックから伊藤園「お~いお茶」の俳句を読み上げる、謎のグダグダ(だが妙におしゃれなコード感の)即興ソング「VIVA LA ROCK」を歌唱する、某有名バンドを騙り客を集めようとするなど、やりたい放題の限りを尽くした彼ら。しかし、結果持ち時間を余したところから見るに、内心この日のステージにかける想いと気負いは相当なものがあったのではないだろうか。

そう、アルカラはユーモアに包まれた外見とは裏腹に、常にロックンロールに対して真摯に己の哲学を持って向き合おうともがき続けている。田原和憲(G)のギターのカッティングと下上貴弘(B)のベースのうねりが踊る“キャッチーを科学する”でVIVA! STAGEのオーディエンスの心をがっちりと掴みつつ、“アブノーマルが足りない”では、疋田武史(D)の手数の多いドラムが牽引するヘビーなサウンドを目一杯フロアに叩きつける。キメが多く、ともするとノリにくくなりかねない楽曲を確かなテクニックをもつメンバーの演奏が一つの塊となってグルーヴしていく。間髪を入れずに‟チクショー“を披露し、会場のボルテージは最高潮に。

MCでは、本フェスのプロデューサーの鹿野 淳がYouTubeにアップロードしたアルカラを紹介する動画をスマートフォンで再生し、3分弱そのまま流すという突然の暴挙に出たものの、アルカラが関西ロックシーンの後進に与えた大きな影響や、そのロック哲学に対してアツく語る鹿野の言葉に会場は感動的な空気に。「自分勝手なライヴをやってください」という鹿野の動画のコメントを受け、稲村太佑(Vo&G)が「インターネットなんかよりも、今ここで言いたい!」と発表したのは、15周年イヤーの公約のひとつでもあるニューアルバムのリリース! 会場はアルカラからの嬉しいニュースに大いに湧く。

思いがけないニュースに熱くなったオーディエンスをニューアルバムからの新曲でダメ押し。続いて、歌謡曲のエッセンスと鋭利なギターサウンドが融合した3分強のハイブリッドダンスロック‟水曜日のマネキンは笑う“で、会場を踊らせ、完膚なきまでに完全勝利したアルカラ。最後はこの日のステージへの感慨をかみしめるように「みんなの力で素敵なイベントに変えていこう!」と、VIVA LA ROCKへの想いを語り、シリアスなロックチューン‟ミ・ラ・イ・ノ・オ・ト”をプレイ。ユーモアに溢れながらもどこまでも生真面目なアルカラ流のロック哲学が存分に披露された、エモーショナルな初出場のステージだった。

(小田部 仁)

セットリスト

1. キャッチーを科学する
2. アブノーマルが足りない
3. チクショー
4. 新曲
5. 水曜日のマネキンは笑う
6. ミ・ラ・イ・ノ・オ・ト

撮影=HayachiN